
オドメーターは34,333km
50年6ヶ月をかけての実走距離です。
関西オート物の正規輸入車。
今ではMini 1000 Mk-Ⅲなどと呼ばれますが、リモートミッションからロッドチェンジに変わり型式が“9X”から、'90年代初頭まで続いたミニ1000“99X”になった初期のモデルです。

カタオカが書類上3人目のオーナーです。

新車時の整備手帳には

関西オート系のサブディーラーだった、徳島のオリエンタルオートが所有権を取り

昭和49年12月24日。
現存する徳島県内の法人が初代使用者として登録された記録が残っています。
ご覧の通り、実は現在の登録番号は新車新規登録時の物ではなく、2年後の昭和51年の初回車検のタイミングで2人目のオーナーの元に渡り変更されたものです。


整備手帳をめくり進めていくと『判定基準』の頁がありました♪
こういうの、お好きな方もいらっしゃるかと思いまして(^^)

カタオカの所有期間中の点検記録簿。
ハイローキットも電動ファンもないオリジナルコンディションを保ちたく時季と行先と天候を選びながらのドライブしかしませんでしたが、14年2ヶ月の間大きなトラブルもなく約9,500km乗りました。
考え方は人それぞれなのでよそ様のことをとやかく言うつもりはありませんが
この車は徳島の文化遺産のような感覚で捉えていて、一時的にお預かりしながら少し楽しみながら、そんな考えに共感していただける徳島の方に襷を繋げられればと思っていました。
そしてこの度、新しいオーナーの元へ。

そんなMk-Ⅲ。
車検の時期でも何でもないのですが、うちから送り出すにあたって整備や化粧直しなどをしておきましょう。

まずは、10年7ヶ月/7000km使用したバッテリーの引継式w
比較的短命なイメージのAC Delco製でしたが、よく頑張ってくれました。


AC Delcoと言えば…
現存するカーパーツサプライヤーですが、’80年代頃まではミニに適合するオイルフィルターなんかも製品ラインナップにありました。ちなみに、Made In Englandです。
とはいえ、さすがにオブジェとして愉しむような状態なのでw


こちらを採用しました。
使用に差し障りのない物で、尚且つビジュアルを兼ね備えたw当店のLimited Stockな品です♪

ポイントの接点を磨き、ギャップを点検。
今は悩みの種でもある点火系パーツですが、この車両は良き時代のLUCAS製でセットアップされており、ロングドライブなどでもトラブったことは一度もありませんでした(^^)

マスターシリンダー,レリーズシリンダー共にカタオカの手で交換履歴あり。
レリーズシリンダーのOHをしようかと思いましたが、ことのほかシリンダーの状態が良さそうだったので簡易的な給脂に留めてクラッチフルードの入替のみにしました。
その他、プランジャーなど可動部にも給脂を実施して

ブレーキの整備へ。
オリジナルサイズのリアホイールシリンダーは、'70年代の僅かな時期にのみ採用されたX(対角)配管というレアな構造を残すこの個体の生命線的な物だと思っています。
このリペアキットもレアになってきましたね…

しかし丈夫です。Assy交換は確か一度もしたことがなかったはずです。

ブレーキシューは、カタオカが乗り始めてから一度全数交換しました。。
その交換から数年経ち…これはその後の欲張り過ぎたカタオカのミス(^_^:)
昨年の袖ヶ浦ニューイヤーミーティングに乗って行こうと整備した際、リアブレーキの調整を攻め過ぎた結果の引き摺り痕…(^_^;)
炭化して剥がれもあるので

サクッと交換して

オリジナルを保っているグリルは、ダメになっていたリベットを打ち直して

整備は完了です。


ここからは、ちょっと気になる化粧直し。
14年前に交換したフロント/リアのウェザーストリップとモール。
どこかのタイミングで替えよう替えようと思っていた部分です。


リアガラスの記号?が気になりつつ


現行品ではない純正モールは、このミニの為に取って置いてあった品。
ウェザーストリップはビジュアルではなく実を取り、接着ではなく溶着タイプを用意して。
合わせて交換です。

この色合いを“エイジング”と捉える方もいらっしゃるようですが

カタオカは断然こっちの方がいいと思います♪
デラックスモールもいいですが、スタンダードモデルにはやっぱりフラットモールですね(^^)


以上で送り出しの準備完了。
次のオーナー様に襷を渡します。

いつか次の誰かに襷を繋ぐ日まで、このミニとたくさん思い出作って下さい。